工学系数学基礎教育研究会のホームページへようこそ!

 「工学系数学基礎教育研究会」は全国の工学系学部(より広く応用系学部)に所属する数学教員を母体とする大学数学基礎教育の改善を目的とした組織です.

 今,日本の大学教育は社会のグローバル化(国際化)と大学のユニバーサル化(大衆化)に対応すべく質保証に向けた変革を迫られています.本研究会はそのような状況の中で約15年程前に改革への熱い志をもった方々によって設立されました
定期的な活動としては年2回の研究集会をもち,講演と討議を通じて教育改善に向けた相互啓蒙の場を提供しています

 我々は,先ず大学数学教育の現場で何が起きているのか現状を調査するために,数学教員のみならず,工学専門教員をも対象としたアンケート調査を実施しました.その結果,入学生の学力低下(特に推薦入学),授業時間数不足,数学教員不足(特に応用分野),その一方で依然解決されないOD(オーバードクター)問題,縦割り行政による数学教員組織分断の現状,等々改善が急がれる問題が浮き彫りになりました. 我々の研究会の存在意義は,この様な危機に瀕した日本の大学数学教育を改革するために,個々の現場では立場が弱い状況であっても,組織として声を発することで社会を動かす力になりうるのではないかということです.

 我々は改革への第1歩として教材作りから始めました.我が国の微分積分教育における Analysis 化による Calculus 不在の数学教育を改善し,グローバルスタンダードなレベルの理論と応用をしっかり学ぶ,自学自習が可能な標準教科書が必要です.この度,約10年の歳月を要して,ようやく質保証改革のための「Calculus 標準教科書」が完成し,発行することが出来ました.(詳しくは, をご覧下さい.)今後,この新しい標準教科書が広く採用されることで,各大学において自主的かつ本格的な教育改善への取り組みが進むことを願う次第です.

 近年,世界的な新型コロナウイルス(covid-19)の流行により,春と秋の本研究会の開催も中止を余儀なくされ、我が国の大学教育はオンライン遠隔授業が援用されて,自宅学習を主体とした学習形態を余儀なくされました.このような災難を寧ろ転機と捉え,大学教育の原点に立ち返って,自学自習が可能な標準教科書の普及と学習者の視点に立ったカリキュラムの改善が進むことを願うものです.

 尚,次回研究会の案内等のお知らせはこちら をご覧ください.また,入会案内や会員情報はこちら です.

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